子どもを「ほめること」の重要性【1】
1 「ほめること」の重要性
人の行動に影響を及ぼす事柄はたくさんありますが、重要なものの一つは「過去の経験」
具体的に言えば、
『○○をしたら、□□になった』という過去の経験が、今の行動に影響すると言うこと。
例:勉強したら、褒められた(ご褒美をもらえた)→「よし!また頑張ろうかな♪」
例:スピード違反したら、捕まった→「もう絶対スピード違反はやめよう(>_<)」
言い換えれば、
「行動の“後”に、どのような経験が伴うか」ということが、「将来の、その行動の起こりやすさ」に影響するということ。
私たちは、相手の行動を変えるために、相手の行動の「前」に色々なことを試みます。
・「頑張りなさい」と励ましたり...
・「○○をしないといけない理由はね...」と諭したり...
・「○○を今やらないと、今に大変なことになるよ!」と脅したり...
もちろん、それらは無意味ではありません。
例えば、多くの子どもにとっては、指示を分かりやすく明確にしたり、スケジュールを示したりすることは、有効なものです。
しかし、それ以上に大切なのは、相手が何かをやった「後」に、どう対応するかということ。
『行動が起こりやすくなるとき』
@ うれしい結果(正の強化)⇒褒められる。ご褒美が貰える。快感が得られる。やりがいを感じる。
A 嫌なことがなくなるとき(負の強化)⇒怒られなくなる。不快なことが無くなる。
例:子どもが「嫌なこと」をしなければならないとき、「暴れる」ことにより、親が「しょうがない」と、子どもが「嫌なこと」をしなくてもよくした場合は、「暴れる」ことを繰り返すかもしれない。→負の強化
『行動が起こりにくくなるとき』
@ 嫌な結果が起きるとき(正の弱化)⇒怒られる。痛い思いをする。不快な状況になる。
A 嬉しいことが無くなってしまうとき(負の弱化)⇒お気に入りのものを取り上げられてしまう。遊び時間を減らされる。
B 期待していたことが起こらなかったとき(消去)⇒話しかけたのに無視された。自動販売機にお金を入れたのにジュースが出ない。スイッチを入れたのにテレビが付かない。
※消去の場合は、行動が一度エスカレートして消去される場合が多い。
子どものパニック、問題行動を無視する方針の場合は、一度エスカレートすることを理解しておくことが必要。
@子どもとの関わりの中で、「望ましい行動を増やし損う」
- 出来ているのに褒めない
→(大人の視点)出来て当然
- 褒めずに次の課題や、やることが指示される
→(子供の視点)頑張っても、やること増えるだけだなぁ
- 一応褒めてみるけど、結局イヤミを言う
→(大人の視点)甘やかしてばかりだといけないと思って・・。
→(子供の視点)イヤミな言葉の一部に反応し、褒めた言葉は頭に入らない。
※苦手意識を持ちながら頑張っている子供は、大きすぎる目標に立ち向かえない→スモールステップ(小さな目標)が大事。
A 子どもとの関わりの中で、「不適切な行動を増やしてしまう」
- 日々の関わり方が薄いと、親が真剣に叱っていても「注目」という「ご褒美を」与えてしまう。
→(大人の視点)どうしてこの子は何度注意しても反省してくれないのかしら?
→(子供の視点)良いことをしても、誰も僕のことを見てくれないけど、イタズラをすれば、みんなが僕の方を振り向いてくれる♪
- 子供の不適切な行動に大人が根負けして、子供の要求を無条件に通してしまう。
→(大人の視点)この子はいったん言い出すと絶対に親が言うことを聞かないから・・
→(子供の視点)努力や我慢をしなくても、ゴネれば(騒げば、暴れれば)思い通りになるぞ
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