ABA 罰的な対応の問題点
2 罰的な対応の問題点
問題行動に対する対応を考えましょう
・行動の原理から考えれば、問題行動を減らすためには・・・
- 問題行動に対して「嫌な結果」を伴わせる【正の弱化】
- 問題行動が起こると「お楽しみ」を奪う【負の弱化】
・30〜40年ほど昔は、子供たち(主に知的障害のある子ども)の問題行動に対してこのような「罰的な」方法が用いられていました。
・罰的な対応には、確かに、「問題行動をやめさせる」効果があるようです。
しかし、罰的な対応だけに頼ってしまう問題点は何でしょうか?
罰的な対応の問題点
- 効果が持続しない
- 問題行動が唯一の表現・コミュニケーション手段だった場合、その人の手段をすべて奪ってしまうことになる。(問題もないが、何も(成長も)しなくなる)
- 副作用
罰的な対応の副作用
- 罰に慣れてしまう・・・。→対応方法が罰のみの場合「罰が」エスカレートする。
- 問題行動を「見つからないようにやる」ということを学ぶ→隠れたいじめに・・
- 罰を与える人との関係が悪化する→良い先生は一定の基準で叱る。叱ること褒めることのバランスを取るのが上手。
- 無気力で臆病になる。→怒られている意味すら分からないと、何もする気が無くなる。
- 他者をコントロールするとき「罰を使えばいい」というモデルを学習してしまう→先生や親の行動が子どもへのモデルとなる。ほかの子に手をあげるという問題行動を先生が手を上げて教えるのは本末転倒
罰的な対応“だけ”では、なかなかうまくいかない
- 罰的な対応の副作用で、「罰的」、「嫌悪的」、「強制的」な方法だけではうまくいきません。
- そのことを対象者の関係者(親や教師など)に理解してもらうことも大切な事です。
それでは、問題にどう対処すればいいのか?
問題行動に対する対応の基本
@現状の悪いパターン
【きっかけ】本人にとって難しい課題→【問題行動】教材を破る→【結果】難しい課題をやらずに済む。
A具体的解決方法
- 課題の難易度や量を調節する。
- 問題行動に代わる、より良い行動を教える(「教えてください」「休憩させてください」と発言すること)
B対応の基本
【問題行動を予防する】
- 問題行動のきっかけをなくす→集団でいるときに問題行動をするなら少人数で勉強するなどスモールステップで様子を見る
- 問題行動のきっかけをなるべく少なくする
- 望ましい行動が起こりやすい工夫を行う
【問題行動によって本人がどのような「プラスの結果」を得ているのかを考える】
- 問題行動に「本人にとってプラスの結果」を与えない
- 問題行動の代わりになる適切な行動を指導する
- 代わりになる適切な行動に対して「プラスの結果」が伴うようにする。
問題行動への対応は「バイパス手術」のようなもの
- 問題行動にはその人なりの理由や目的、メッセージが込められている。
- 大切なのはその人のメッセージを止めさせることではなく適切な筋道を教えてあげること。
ほめること、認めることの重要性
- 「叱るだけ」「抑えつけるだけ」の対応ではなかなかうまくいかない
- 「代わりにどうするべきであったのか」を本人や関係者と一緒に考え、それができたことを認め、賞賛することが重要
- これは決して「甘やかす」と言うことではない
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